どうモー、うしコラムです。
初夏の新緑がまぶしい季節となりました。
この時期の牛農家さんは、天気とにらめっこして大忙しの牧草収穫シーズンです。
晴れている日を狙って牛さんに与える牧草を刈り乾燥させ、サイレージを作るというわけで(サイレージについては#52を見てね)。
ところで、「牛はイタリアンが好き」と聞いて、皆様は何を想像するでしょうか?
イタリアン??ピザ?パスタ?確かに原料は小麦だし食べれないこともないか…。
などと思ったのは、学生時代の私だけではないはず(笑)。
今日は、牛さんの大好きなイタリアンのお話です。
本名はイタリアンライグラス
牛が食べるイタリアンとは、実は「イタリアンライグラス」というヨーロッパ原産のイネ科の牧草なのです。
日本では雑草としてその辺によく生えています。
田んぼを持っている牛農家さんは、稲刈りが終わり次の春に田植えをするまでの間、イタリアンを育てていることが多いです。土地の有効活用ですね。
ちなみにイタリアンも進化しており、複数回収穫できたり、硝酸態窒素が蓄積しにくいよう品種改良されているんですよ。
*硝酸態窒素…植物の成長に必要な栄養素の一つで、植物内に蓄積されます。人や動物は、それを適量摂取する分には問題ありませんが、過剰に摂取すると中毒症状を起こすこともあります。水に溶けやすい性質があり、硝酸体窒素を豊富に含むほうれん草を茹でて食べるのはこのためです。
多方面で大活躍のイタリアン
牛の餌として馴染みの深いイタリアンは、他のところでも活躍してくれています。
それは「緑肥」。
緑肥とは、育てた植物そのものを肥料として土にすき込み利用することです。
イタリアンをはじめとしたイネ科、レンゲなどのマメ科、マリーゴールドなどのキク科植物が緑肥として使用されています。
野菜などの収穫が終わってしばらく使用しない土地でイタリアンを育てると、イタリアンが上手く土壌中の栄養を吸収してくれます。
本来は土壌中の栄養はどんどん雨で流れていってしまうのですが、栄養をたっぷり吸収してくれたイタリアンを土中にすき込むことで、イタリアン自身が肥料になってくれるのです。
また、肥料としてだけでなく、畑の土を柔らかくして水はけを良くしてくれたり、有害生物を制御してくれる効果もあります。
農業って奥深いですね!
参考:setsumeikai_shiryou_5-4_1.pdf (maff.go.jp)