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#78 斑紋

どうモー、うしコラムです。

前回は、和牛は個体を特定する手段の1つとして鼻紋を登録しているというお話をしました。

一方で、牛乳を生産してくれる黒白模様のホルスタイン種は、見事な程に牛ごとに柄が違いますね。

この黒白模様(斑紋)は、人の指紋と同じく成長しても変わりません。

かつては、血統登録時に個体識別確認のため、斑紋をスケッチして証明書に載せていたそうですが、現在は個体識別番号(耳標)でOK!(ただし雄を血統登録する際は、現在も斑紋スケッチが必要)。

たった2色の世界なのに奥が深いホルスタイン種。

今日はお肉からちょっと離れて、牛乳を生産してくれるホルスタインにスポットを当てます!

 

ホルスタインの法則(テストには出ません)

ホルスタイン種は、牛乳をたくさん取ることを目的に品種改良されました。

そんな彼女らの正式名称は「ホルスタイン・フリーシアン」。

ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州を起源とし、オランダのフリースランド地方で品種改良されたことに由来します。

特徴である黒白模様には、1つ重大な規則があります。

それは、4本の足の踝(くるぶし)あたり、しっぽ、お腹は必ず白色が入っていること。

このため、昔は「六白牛」とも言われていたそうです。
(確かに、ホルスタイン種の写真を検索すると皆6カ所白い!)

ただし、現在のホルスタイン登録協会の条件では、上記の6カ所のいずれかが黒くても、その父牛及び母牛が一定の条件を満たせば血統登録できるそうです。

参考)一般社団法日本ホルスタイン登録協会

 

赤白のホルスタインもいる!

ホルスタインと言えば黒白。

しかし、たまに赤白の可愛らしい子もいるんです。

それがコチラ。じゃん!

血液や赤信号の赤ではなくて、明るめの茶色ですが。

この色でも、今では立派なホルスタインとして認められています。

 

ちなみにこの赤色遺伝子はその昔、更なる品種改良を目的として肉牛であるショートホーン種という赤牛と交配させた影響によるものです。

ショートホーン種との掛け合わせは乳量が伸びず上手くいきませんでしたが、今でも赤色遺伝子が引き継がれていて、たまにこんな色合いで生まれてきます。

よく「赤白からはカフェオレが出てきそうだ」といったコメントをいただくのですが、乳成分にコーヒーは含まれません(そりゃそうだ)ので、ご了承ください。






#77 鼻紋

どうモー、うしコラムです。

少し遡りますが、3月3日は桃の節句、女の子の健やかな成長と幸せを願う日でしたね。

雛人形を飾ったご家庭も多いと思います。

近年は、気軽に飾ることのできるコンパクトなタイプも多いですが、お店などで見ることができる7段の雛人形は、やはり圧倒されますね。

同じ顔に見える…のですが、よく見ると1人1人表情が違っており、特徴を知っていれば皆ちゃんと識別できます。

雛人形は識別できるけれども…そんな私を惑わす識別困難な顔があります。

そう!和牛!

 

乳牛のホルスタイン種は、白黒模様がそれぞれ個性的で判別しやすいのですが、お肉になる和牛の判別は至難の業。

 

しかし不思議なことに、農家さんの中には、何十頭も飼育している牛さんの顔を覚えている方も結構いて、牛への愛情を感じる瞬間でもあります。

 

人は指紋、ならば牛は…

私たちが普段どうやって牛を判別しているかというと…100%、耳標に記載されている個体識別番号です(#72参照)。

日本で産まれた牛はもちろん、海外からやってきた牛も、日本で飼育されるには必ず個体識別番号が付与されます。

なので、この耳標はとても大事なものなのですが、もう1つ、和牛に限ってのことですが、あるものを使って個体の認証識別をするのです。

 

それは…鼻紋(びもん)!

 

鼻の模様で、人間の指紋のように牛1頭1頭違い、更に成長しても変化しません。

和牛は子牛の時に取った鼻紋が子牛登記証明書にしっかりと載っています。

 

普段の識別は個体識別番号ですが、耳標が外れた時や二重チェックが必要な場面では、この鼻紋が役に立つんですよ。

 

ちなみに鼻紋の取り方は、You Tubeで「牛 鼻紋」と調べれば出てきます。

短時間で手際よくできているように見えますが、それはプロだから。結構大変な仕事なんですよ。

 

なぜ和牛だけ鼻紋を?

和牛はお肉になる牛のため、サシの入り方や成長の仕方(どれだけお肉がとれるか)など、遺伝的な要素が重要視されます。

つまり、牛1頭1頭で価値が大きく異なり、絶対に個体識別のミスが起こってはいけないんです。

だから個体識別番号に加え、鼻紋も登録しているのですね。

人の指紋と一緒で使われることは少ない鼻紋ですが、いつか牛さんを間近で見る機会がある時は、じーっくりと鼻を見つめてみてください!

 






#76 牛獣医の修行日記 痛い話

どうモー、うしコラムです。

朝晩かじかんでいた手先足先の痛みがだんだん和らいでいくと、いよいよ春が近いと感じますね。

痛みつながりで、今回は牛獣医をやっていて痛かった話を少し。

 

蹴り!

野生の牛のキック力は、場合によってはライオンを殺すほどの威力があるそうですが、獣医は牛が嫌がること(注射とかお尻に手を突っ込むとか)をする以上、それを食らうことを覚悟しなければなりません。

牛に注射をするときはお尻の周りにすることがあるのですが、よりにもよってその時は暴れ牛でした。

刺した瞬間、牛は飛び上がり、そのまま強烈なキックを私の膝に!

みしっ

と何かがきしむ音。

やばい、これは大腿骨がやられた…っ

と思ったらさほど痛くない(いや痛いのは間違いないのですが)。

 

よく見ると、蹴られたあたりには作業服のポケットがあり、そこには私の業務用スマートフォンがあったのです。

みしっといったのは、スマホが凹む音でした。

 

現在も若干「へ」の字になったスマホを使いながら、牛ってこえぇなあと思うと同時に、スマホってちょっとやそっとじゃ壊れないのねと感心するのでした。

 

頭突き!

絵本や映画なんかで、大きな動物に服を咥えられて背中にひょいと乗せられる場面があって、憧れたりしたものです。

牛が相手だと、さほど平和的ではありません。

それは甘えているのか邪魔だと言っているのか、とにかく牛は隙あらばスリスリと頭をなすりつけてくる。

いや、牛はスリスリのつもりかもしれませんが、実際の肌感覚としてはゴリゴリゴリ!といったところで、これをお尻・腰・背中に食らうと本当に痛い!

更に強靭な首の一振りが当たれば、人間なんか軽く吹っ飛ぶのです。

 

さて、直腸検査の作業中、私の背後を狙う牛がひたひたと近づいてくる。

そして何度も続く頭突きゴリゴリ攻撃に耐えていると、その牛は私の股に頭を突っ込み

ぶぅーーーーん

と首を持ち上げたのです。

私はふわーっと浮き上がり、…

…まあ、ちょっと気持ちよかったです。直腸検査中にやられると肩が脱臼するので、お気をつけて。

 

圧!

搾乳牛だと体重が600㎏ほどもあるのですが、牛と牛との間に割り込もうとして両方の牛の腰骨にプレスされたり、発情した牛にのし掛かられたりと、重量だけで十分な凶器です。

一度、治療中に牛が倒れ、そのまま私も巻き込まれたことがありました。

しっかり乗られてしまうと、本当に脱出できません。この時ばかりは自分の死か、立てなくなるかを意識しました。

こんな時って、映画さながら「誰か――っ!」と叫ぶものですね。幸い人がいてくれたので、救助されて事なきを得ました。

 

牛に携わる者、安全確保が第一です。

皆様も、牛と接触するときはお気をつけて。