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#96 むりやりカレンダー① 霜降

どうモー、うしコラムです。

このごろ急に寒くなってきて、気付けば冬の足音が聞こえる日々となりました。

 

霜が降り始めればいよいよ冬が迫ってくるという感じで、来月はいよいよ「霜月」の11月。

実は霜の気配を感じさせる言葉が10月にあるので、今回はそれをご紹介します。

 

霜月の準備段階?「霜降」

日本の暦・二十四節気では8月8日あたりを「立秋(りっしゅう)」として、処暑→白露→秋分→寒露ときて、秋としては最後の「霜降(こうそう)」を迎えます。

日付で言うと、今年(2024年)は10月23日から11月6日あたりまでを指します。

降霜の次が「立冬」で、もう冬になるのですね。

今年は30度を超えるいわゆる「真夏日」が10月以降も全国各地で続き、体感としては

「…秋、短すぎ!!」

と思わずにはいられません。

 

霜降といえば

「霜降」の字面で思い浮かぶのは、そう、霜降り和牛!(むりやり?)

秋田牛も、芸術的なサシ(脂肪)の入った霜降り肉を生み出します。

 

サシが入るのは和牛の特徴のひとつで、筋肉の中に霜のようなきめ細かい脂肪組織が入り込む遺伝的性質をもつ牛を選び抜いていった結果、現在のような和牛になっていきました。

歴史的には、日本で昔から使役用に飼育されていた牛を日本独自の肉専用種にする事業が1960年代にスタート。

美味しい牛肉の需要が増していく中で、昭和の終わりごろに牛肉輸入自由化。安い外国産牛肉に対抗するために高品質な牛肉が求められるようになりました。

こうした流れの中で、和牛の肉質の改良がいっそう進んだと言われています。

参考:農林水産省

 

秋田牛はお米の入った飼料を食べて、良質な脂肪の入ったお肉になっています。胃もたれしにくい(食べてみた感想)、いいお肉です!

降霜を迎えるこの季節にちなんで、霜降り肉を味わってみてはいかがでしょうか!?






#95 レシピ公開!秋田牛のかまくら風かば焼き丼

どうモー、うしコラムです。

さあお待たせしました!いよいよ、「残暑で疲れた体に秋田牛の美味さが染みわたる『秋田牛のかまくら風かば焼き丼』」レシピ公開です!

動画の画質は例によってちと悪いですが(すみません!)、それでも画面からあの香りが漂ってきそうです。ではLet’s go!

材料(2人分)

・秋田牛バラ肉ブロック…250g ※ブロック肉が手に入らない場合はスライス肉でも可。
・ご飯…400g(茶碗2杯分)

※タレの材料
・醤油…大さじ1
・味醂…大さじ2
・砂糖…大さじ1
・料理酒…大さじ3
・おろしニンニク…小さじ2分の1
・片栗粉…小さじ2分の1

※その他
・山椒…適量
・木の芽…適量
・白ごま…適量

作り方

  1. 牛バラ肉は5㎜厚にスライスします。
  2. タレの材料をボウルに合わせます。
  3. フライパンにスライスした肉を重ならないように敷き、強火にかけます。
  4. 焼き色が付いたら牛肉を返し、中火に落としたら、キッチンペーパーなどで余分な脂を拭き取り、タレを煮からめます。 ※脂が残っているとタレが分離して絡みづらくなります。しっかりと拭き取るのが美味しく仕上げるコツです。
  5. 汁気がまだ少しある状態で火を止めます。
  6. 各丼にご飯を半分入れ、焼いた牛肉の半量を敷き、その上にさらにご飯をのせてかぶせ、最後に残りの牛肉をのせて2段重ねの丼にします。
  7. 仕上げに山椒、白ごまを振りかけ、木の芽を飾って完成。

 

うーん、香ばしい香りが漂ってきます(*´▽`*)

皆さまもぜひ作ってみてください!

 

レシピ提供

皆川拓磨さん:秋田市の閑静な住宅街の中にある地元食材を使った創作料理店の店主。

市内全戸配布のフリーペーパー《a KuRaSu(エークラス)》のレシピを担当。

また、秋田中央畜地場産品協議会の幹事、異業種交流会《酒農会議(しゅのうかいぎ)》の主宰を務める活動は料理人の枠を超え多岐に渡る。

インスタグラムはコチラ

 






#94 かば焼きよもやま話

どうモー、うしコラムです。

このコラムを書いている時点ではまだまだ暑い日が続いています。

まだこの強烈な日差しが続くとは全くの予想外。

 

病気の牛を治療するときは、牛舎につないで診察するのですが、このときジリジリと照り付ける日光をとても厳しく感じます。場所によっては牛の頭にも強烈な日差しが降り注ぎ、牛にもきつそうだなぁと思わずにはいられません。

皆さまもどうぞご自愛ください。私は1回ぶっ倒れました(笑)。

 

今さら土用の話

普通、ウナギを食べてスタミナをつけましょうといった話が盛り上がるのは土用の丑の日、2024年は7月24日と8月5日でした。

土用というのは、季節の変わり目の18日間を指すそうです。自然界のあらゆるものを木・火・土・金・水の5つの要素に分類する「五行説」に基づき、四季を春=木、夏=火、秋=金、冬=水と位置づけ、それらの変わり目を「土」としたそうです。

昔は日々にも十二支を当てはめていたそうで、毎日「子の日」や「辰の日」といった日があって、つまり土用期間の「牛の日」に当たるところを「土用の丑の日」と呼んだわけです。

昔から「丑の日」というのは何かをするのに重要な日と位置付けられていたのですが、どんな意味があるのかはよく分かりませんでした。もしかすると、漢字の「丑」には本来「つかみ取る」という意味があるので、縁起の良い日とされていたのかもしれません。

ともあれ、夏の季節の変わり目は体にもこたえるので、丑の日に何かガッツのつくものを食べようということで、夏の「土用の丑の日」がクローズアップされてきたわけです。

 

かば焼きの雑学

さて、丑の日と言えばウナギのかば焼き。

かば焼きというのは漢字で書くと「蒲焼」。語源について説がいくつかあって、ひとつはウナギをぶつ切りにして竹串に刺した様子が蒲の穂(下の写真)に似ているから、と言われています。

…まあ、そう見えないこともない。

 

もうひとつの説は、いい匂いが素早く鼻に入ってくる「香疾(かばや)」が語源というもの。あの香りを嗅ぐだけでも幸せな気分になりますね。

しかし実は、ウナギといえども、何もつけない素焼きではそこまでの香りは出てきません。

そこで注目したい、かば焼きの「タレ」。

匂いについての文献†を紐解いてみると、あのタレと一緒に焼くことで香り成分ピラジンの量が増強されるということが証明されています。あの幸せの香りはタレの力によるものだったのか―!

 

ところであのタレ、お店それぞれに秘伝のレシピがありそうですが、実は材料自体は醤油・砂糖・みりん・酒とシンプルなもの。自宅でも作れてしまうものなのです。

 

さて、それではいっちょ「かば焼き」を自宅で楽しんでみませんか?

次回、手軽にガッツのつくものを食べたいという方必見!

ウナギの代わりに牛肉を使って、「かまくら風・牛肉のかば焼き丼」ご紹介!

 

†参考文献 魚肉焼臭成分(1975)






#93 大変な夏をふりかえる…牛肉で夏バテ対策!?

どうモー、うしコラムです。

 

唐突ですが、暑い夏はマジ大変

朝はだいぶ涼しくなりましたが、昼間はまだまだ暑いですね!

 

真夏は牛の体温がやたらと高く(40度ぐらいになっていることがよくあります)、診察をしていて、感染症なのか熱中症なのかよー分からん!と思うことが何度もありました。

 

暑い夏でも、熱中症以外の病気になることがあるのかって?

 

あるんです。実は7~8月は分娩が多くなりがちなのですが、分娩すると産道が傷ついたりして、高熱を発することがよくあるのです(産褥熱と言います)。

 

暑くて動きたくないのは牛も同じようで、夏場は極端に発情行動が見えにくくなります。一方、涼しくなると、その分を取り返すかのように発情が分かりやすくなります。

そういうわけで、9~10月にたくさん人工授精を行うことになります。

牛の妊娠期間は約10か月。こうして7~8月にじゃんじゃん分娩する、という構図になるわけです。

 

夏は熱中症と産褥熱のダブルパンチがあるので、親牛の診療数が跳ね上がり、

むしろこっちが倒れたいわ

と獣医はぼやくことになるのです。

 

寒暖差に要注意!

最近は朝が涼しいせいか、検温しても健常牛は38度台(牛にとっては平熱です)、調子の悪い牛は39度後半と、見分けのつけやすい状態となってきました。

それはありがたいのですが、気温差は夏バテの原因のひとつと考えられています。

てことは、これからも診療数は増えると予想。うーむ、怖いです!

 

 

ところで人間の場合、夏場は効きすぎたエアコンと外気の温度差で、今は朝晩の気温差が体にこたえるようですね。

 

夏バテ防止には脂肪・タンパク質・ビタミン等の補充が効果的と言われており、牛肉はそれらをバランスよく含む食材です。

そんなわけで、次回は夏バテ対策食について考えてみようと思います!






#92 夏はビール(?)

どうモー、うしコラムです。

 

夏真っ盛り、1日頑張ったあとのビールは格別ですよね。

「酒は百薬の長」と昔から言われ、適量のお酒は血行促進やリラックス効果があると言われています。

 

また、ビールの主原料は、大麦、ホップ、ビール酵母。

これらには、水溶性食物繊維、ビタミンB群、フィストロゲンという女性ホルモンに似た働きをする栄養素、タンパク質やミネラルなどが含まれており、適量であれば体に良い作用があるようです。

 

そんなビールですが、実は、私たち人間以外にも飲んでいる動物がいるんです。えーっ?いったい何!?(棒読み)

 

 

ビールを飲んで食欲増進!

そう、牛です(笑)。

肉用牛は一般的に、大事に育てられて31ヶ月齢くらいでお肉になります。

それまで牛の状態や月齢に合わせて餌を給与するわけですが、ある程度肉付きが良くなると、牛の食欲が低下してしまうことがあります。

そんな時には炭酸とアルコールで第1胃を刺激すると食欲が上がるらしく、その材料にビールを使う生産者もいる、ということなのです。(※牛農家なら誰もがやっているというわけではありません)

 

牛は苦味を感じるのか?

ところで、牛は、ビールの苦味は平気なのでしょうか?

ここで注目したいのは、舌にある味蕾という味を感じる器官の数です。

成人は5000~10000個、猫は500個、犬は2000個と言われ、我々人間は味覚が敏感なんだ!と再認識するのですが…

牛は…な、なんと20000個もあるんですって!

 

一般的に肉食動物よりも草食動物の方が味覚は優れていると言われています。

 

というのも、狩りをして新鮮な肉を食べる肉食動物には、腐敗や植物毒の心配がないから。

一方の草食動物は、似たような色形の草の中から有害なものを見分ける必要があるため、味覚が発達したと言われています。

 

牛は甘味や旨味に嗜好性を示し、塩味や酸味には強い拒絶反応を示すそうです。

苦味は…30年前の論文によると、牛は苦味については敏感な反応を示さなかったそうです。

ただこの論文で苦味として与えられたのはカフェインなので、ビールの苦味ではまた別の反応を示すかも…。

いつかグルメな牛の本音を聞いてみたいものです。

 

参考文献:牛の味覚に関する行動学的研究 | CiNii Research






#91 メタン対策!

どうモー、うしコラムです。

猛烈な暑さで牛がまいっている今日この頃。温暖化について以前ふれましたが(#57を見てね)、台風が東北をヒットする予報を見て、やっぱり異常なんだなあと思います。

温暖化の原因の一つはメタンガスだ→牛はゲップでメタンガスを排出するぞ→なにィ、それなら…ということで、ニュージーランドでは2022年、温暖化対策の一環として家畜を飼育する農家さんに対し課税する方針を発表。

…したのですが、2024年6月、同国政府はこの計画を中止したそうで。

 

代わりに多額の資金を投じ、農家や業界団体と連携してメタン排出を削減する取組を模索していくそうです。

今回は、牛を育てるにあたり発生するメタンを減らす試みについてお話しします。

 

食べるものを見直す

メタン対策の切り口としては餌の量や種類が挙げられます。

ひとつは、たくさん食べればたくさんメタンが発生するので、適量を食べさせるというものですね。これにはIT技術がカギになりそうです。

もうひとつは、メタンが発生しにくい素材を餌にするというものです。メタンの発生を減らす素材として「カシューナッツ殻液」、「カギケノリ(海藻)」、「3-ニトロオキシプロパノール(3-NOP)」(ああ難しい!)などが世界で注目・研究されています。

牛の胃袋は4つあって、そのうちの第1胃が草を微生物の力で発酵させて栄養にする場所なのですが、ここでメタンが発生します。これらの素材は、メタンを発生させる細菌の働きを抑制させるそうです。

 

「カシューナッツ殻液」は、実は10年以上も前に日本で商品化されていました。当時はまだ牛のメタンについてあまり注目されていなかったようですが、世界的にもメタン排出削減が課題となっている今、この製品はあらためて注目されています。

参考:畜産研究部門:牛のメタン | 農研機構 (naro.go.jp)

 

牛用のマスク!?

マスクでメタンの排出を物理的にブロックすればよいのでは!?

そう考えた企業がイギリスにあって、排出されたメタンを吸収・分解するマスクが開発されたそうです(写真はコチラをご参照!)。

マスクといっても、鼻先の上に取り付けるため、餌を食べたりするのに問題はないようです。

凄い製品をまじめに検討する時代が来たものだ…としみじみ思いますね。

 






#90 自宅で絶品!かまくら風サーロインカツレツ

どうモー、うしコラムです。

さあ今回はお待ちかねの牛カツレシピ回!!(♪)

シンプルなのに超贅沢な一品をご自宅で、ぜひ、ご堪能あれ!(*´▽`*)

 

材料

カツレツの材料

秋田牛(本レシピではサーロイン):150g
パン粉(目の細かいもの):適量
卵:1個
薄力粉:適量

ソースの材料

バルサミコ酢:50g
醤油:10g
はちみつ:10g
バター:5g
塩ひとつまみ

 

作り方

カツ本体の作り方

①サーロインに薄力粉をつける。

②溶いた卵を潜らせてから、細かくしたパン粉をつける。この工程をもう一度行う。

③170度の油にいれて1分ほど加熱。取り出して一度休ませる。

④200度に予熱したオーブンに入れて3分加熱後、1分休ませる。その後もう一度同じオーブンの温度に3分入れる。

 

バルサミコソースの作り方

①鍋にバルサミコ酢、醤油を入れ、4分の1になるまで煮詰める。

②はちみつを混ぜ、濃度がついたらバターで乳化。

③最後に塩で味を整える。

 

お皿に盛り付けて完成!

スタミナ付けて、暑い夏をのりきりましょう!






#89 牛カツ!

どうモー、うしコラムです。

我が家の周りではセミが大合唱。セミが鳴くようになると梅雨明けだなぁと思います。

となると、いよいよ夏真っ盛り。こんな季節には、しっかりとスタミナをつけて乗り切りたいもの。

夏でも食が進む高エネルギー食と言ったら、揚げ物でしょう!!

てなわけで、今回のテーマは「牛カツ」です。

 

牛カツの発祥

牛カツの原型は明治時代、肉にパン粉をつけてバターや油で焼くフランス発祥の料理を「コートレット」と呼んでいたのですが、その脂っこさが当時の日本人にウケなかったようで。

そこでカラッと揚げるスタイルに変化して、しかもお求めやすい価格になるよう豚肉で作ったものが、豚のカツレツ=トンカツだったそうです。「カツレツ」というのはコートレットから変化した言葉ですね。

サクサクの衣にジューシーな肉の素敵なハーモニー。日本が誇る屈指の発明品のひとつと言ってよいでしょう。

「これエエやん!」と全国に広まるのですが、牛肉を好んだ関西圏ではカツレツを牛肉で作るようになったとか。

こうして生まれたのが牛カツで、「牛カツ京都勝牛」など、今では日本各地どころか海外でも美食家を唸らせているお店もありますね。

 

牛カツの楽しみ方

牛カツの楽しみ方は色々あります。

比較的しっかり熱を通すトンカツと異なり、牛カツはレア~ミディアムレアでも食べることができます。その色合いがまたステキ!(上の写真!)

目で楽しんだ後は口の中へ。外はサクサク、中は柔らかく、あふれる肉汁。その食感に驚く外国人観光客も多いそうです。

 

ひと通り定番の味わいを楽しんだら、わさび醤油やポン酢など、味付けを変えてみるのも楽しみのひとつ。マスタードや岩塩をちょっとつけるだけで、牛肉の味が変わってきます。

また、牛カツ定食として、ご飯や味噌汁、漬物と一緒に食べるのもまた格別。

おいしい白米との相性抜群。日本に生まれてよかったと思える瞬間です。

 

作ってみちゃう?

さてこんな旨そうに紹介してしまった牛カツ。おいしそうだなー、で終わらせないのがかまくら魂!

ご自宅でも牛カツ、作ってみませんか?

次回はご家庭でできる牛カツのレシピ、公開しちゃいます!

乞うご期待!






#88 牛の(めんどくさい)性格

 

どうモー、うしコラムです。

 

早いものでコラムも88回を迎えました。いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今後も食卓が楽しくなるようなコラムを発信していきたいと思います!

 

過去のコラムには、「子牛の群れに飛び込むと、噛みつき攻撃に晒される」(#49を見てね)といったエピソードがあるのですが、そういえば今まで牛の性格には触れてこなかったと思い至ったので、今回はそこについて少し。

 

めっちゃ好奇心旺盛

まだ離乳していない子牛の群れに飛び込むと、子牛の激しい頭突きをくらったり、噛みつき(というか吸い付き)をくらったりします。

これは母乳が欲しいから、というのはイメージが付きやすいと思います。子牛は母牛の乳房をつついて刺激し、母乳を出すように促すのです。これを人間の股ぐらにもお見舞いするので、牛の乳房ほど柔らかさも包容力もない人間にとっては痛い攻撃になるわけですが。

 

では離乳した牛や、1~2歳ぐらいの若牛ではどうか?

 

答え:群れの中に飛び込むと、相変わらず、もみくちゃにされます(笑)。

 

実は牛ってものすごく好奇心旺盛なのです。

人間が入ってくれば、とりあえず匂いを嗅ぐ、

舐めて味見してみる、

箱(ウエストポーチとか)があれば開けて中身をひっぺがえす、

作業服のポケットに入れているものがあれば引っ張り出してみる、

頭突きしてみる(強度確認?)、

…といった形で侵入者(?)の検分を行うのです。

 

私が人工授精などで全神経を作業に集中させているときもお構いなしです。

もしも牧場で「やめて!マジやめて!」と人工授精師さんのキレ気味の声が聞こえてきたら、そういう状況なんだと察してあげてください。

 

 

でも触られたくはない

牛の寄ってくる様子がとても人懐っこく見えるので、「よーしよしよし」とナデナデしたくなるのが人情というもの。

しかし牛は、お触り断固お断り!という態度を示すことが多いです。

触ろうと思って手を伸ばすと、さーっと逃げていく。

私が諦めて仕事を始めると、また「検分」をしにやってくる。

手を伸ばすと、またさーっと逃げていく。

 

好奇心も警戒心もやたら強いのが牛の性格。

ただ、年を取るにつれて色々分かってくるのか、好奇心はだんだん弱くなり、警戒心が強くなるような気がします。

特に私たち獣医は注射など痛いことをするので成牛からは逃げられがち。

過度に警戒されないよう、こまめに餌を寄せてあげ、日頃から信頼関係づくりをやったりするのです。

 

 

イラスト提供:も

 

 

 






#87 じめじめは苦手

どうモー、うしコラムです。

梅雨入りした地域もあり、湿度が高くじめじめした日が続いていますね。

牛も、人間と同じで湿度が高いと不快感を抱くようで、「熱はないけど食欲がいまいち…」と相談されることがあります。(いや、牛からではなく飼い主さんからね)

 

気温はそんなに高くないから大丈夫でしょ!と思ったら、さにあらず。

この季節、空気がこもりがちな牛舎内では、牛は想像以上にストレスを感じているんです。

今回は、湿度に注目してみましょう!

 

温度、だけじゃない、湿度!

梅雨から夏の間、不快指数という言葉をよく聞きます。

不快指数は

 

0.81×気温+(相対湿度/100)×(0.99×気温-14.3)+46.3

 

なんて計算式ではじき出すのですが、つまり気温だけではなくて、湿度も不快指数に影響していることを示しています。

 

不快指数が高くなるにつれて牛は強いストレスを感じますが、厄介なのは人と感じ方が違うということ。

例えば、気温が24℃、湿度が65%なら不快指数は72。

人間には比較的過ごしやすいレベルなのですが、牛にとっては結構なストレス環境と考えられています。

 

熱を発する発酵槽を体内に抱える牛は暑さに弱いんでしたね。(コラム#27を見てね!)

人間と牛とでは暑さに対する感じ方から違うのですから、それに湿度が絡むとなればもうワケが分からない。

 

そんな時には機械に頼るのもひとつの方法。牛用のストレスメーターという便利道具があるので、それを参考にしたりします。(下のリンクをご参照ください)

参考:JA全農ちくさんクラブ21

 

湿度が高いとやってくる奴

湿気が高いと、牛以外に対しても困った影響があります。

私たち人間も、風呂場など湿気の高いところで悩まされるアレ…そう、

 

カビです。

 

牛の餌を冷蔵庫で保管できるわけもなく、梅雨は特に飼料にカビが生えてしまうことがあるのです。

牛は発酵槽である1胃の中である程度カビを分解できます。発酵槽のお陰で暑さには弱いけどカビには強い。しかしそれでも繁殖力が落ちたり、肝臓がダメージを受けたりと、様々な悪影響があります。

 

だから、この時期は特に、「餌は大丈夫かいな」という目で牧場内を観察しなければなりません。

 

そんな感じでややこしいこの季節、みなさまも食中毒にはどうぞお気を付けください!

 

イラスト:も