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#76 牛獣医の修行日記 痛い話

どうモー、うしコラムです。

朝晩かじかんでいた手先足先の痛みがだんだん和らいでいくと、いよいよ春が近いと感じますね。

痛みつながりで、今回は牛獣医をやっていて痛かった話を少し。

 

蹴り!

野生の牛のキック力は、場合によってはライオンを殺すほどの威力があるそうですが、獣医は牛が嫌がること(注射とかお尻に手を突っ込むとか)をする以上、それを食らうことを覚悟しなければなりません。

牛に注射をするときはお尻の周りにすることがあるのですが、よりにもよってその時は暴れ牛でした。

刺した瞬間、牛は飛び上がり、そのまま強烈なキックを私の膝に!

みしっ

と何かがきしむ音。

やばい、これは大腿骨がやられた…っ

と思ったらさほど痛くない(いや痛いのは間違いないのですが)。

 

よく見ると、蹴られたあたりには作業服のポケットがあり、そこには私の業務用スマートフォンがあったのです。

みしっといったのは、スマホが凹む音でした。

 

現在も若干「へ」の字になったスマホを使いながら、牛ってこえぇなあと思うと同時に、スマホってちょっとやそっとじゃ壊れないのねと感心するのでした。

 

頭突き!

絵本や映画なんかで、大きな動物に服を咥えられて背中にひょいと乗せられる場面があって、憧れたりしたものです。

牛が相手だと、さほど平和的ではありません。

それは甘えているのか邪魔だと言っているのか、とにかく牛は隙あらばスリスリと頭をなすりつけてくる。

いや、牛はスリスリのつもりかもしれませんが、実際の肌感覚としてはゴリゴリゴリ!といったところで、これをお尻・腰・背中に食らうと本当に痛い!

更に強靭な首の一振りが当たれば、人間なんか軽く吹っ飛ぶのです。

 

さて、直腸検査の作業中、私の背後を狙う牛がひたひたと近づいてくる。

そして何度も続く頭突きゴリゴリ攻撃に耐えていると、その牛は私の股に頭を突っ込み

ぶぅーーーーん

と首を持ち上げたのです。

私はふわーっと浮き上がり、…

…まあ、ちょっと気持ちよかったです。直腸検査中にやられると肩が脱臼するので、お気をつけて。

 

圧!

搾乳牛だと体重が600㎏ほどもあるのですが、牛と牛との間に割り込もうとして両方の牛の腰骨にプレスされたり、発情した牛にのし掛かられたりと、重量だけで十分な凶器です。

一度、治療中に牛が倒れ、そのまま私も巻き込まれたことがありました。

しっかり乗られてしまうと、本当に脱出できません。この時ばかりは自分の死か、立てなくなるかを意識しました。

こんな時って、映画さながら「誰か――っ!」と叫ぶものですね。幸い人がいてくれたので、救助されて事なきを得ました。

 

牛に携わる者、安全確保が第一です。

皆様も、牛と接触するときはお気をつけて。






#75 特別な29日

どうモー、うしコラムです。

 

今年はうるう年。4年ぶりに、2月に29日がやってきます。

そう、29日、に(2)く(9)の日…

というわけで、「4年ぶりの肉の日じゃー!!」とお肉業界は盛り上がっているようです。

 

京都府の調べによると、前回のうるう年・2020年2月の牛肉消費動向を見ると、2月9日と2月29日に牛肉の消費が大きく伸びていたとのこと(出典はコチラです!)。

めで「たい」ことがあれば鯛を食べるようなダジャレ食文化の日本。数字のゴロ合わせが消費に与える影響力は計り知れません。

 

例えば毎月22日はショートケーキの日。カレンダーを見ると22日の上には必ず15(いちご)日が乗っているから。

なんてことない毎日だけど、ちょっと見方を変えると、何かにとって特別な日だったりすることを感じさせてくれます。

 

2月29日も、「そうか、今年は1日多いんだ」で終わってしまいそうですが、それをきっかけにちょっと特別感のある食卓にできそうです。

私たちのお肉も、そんな今日のお供になれたらと思います。

 






#74 牛獣医の修行日記 妖怪四変その3

どうモー、うしコラムです。

さて、妖怪四変との対決録、続きます。

 

新兵器登場!

ガスの溜まった4胃を確認し、このガス抜きは骨が折れそうだと思ったその時。

先輩獣医はある道具を取り出したのです。

そう、ビーチとかで大活躍のあれです。

 

私「これは…」

先輩「見ての通り、ポンプだ」

私「空気を入れてどうするんです!?」

先輩「心配するな、このポンプは空気を抜くこともできるのだ!」

何という優れモノ!

 

ちなみに外科の教科書には「チューブを取り付けた針を4胃に突き刺し、4胃を圧迫してガスを抜く」的なことが書かれています。この方法は結構時間がかかって大変なのですが。

 

私「4胃に針…刺しました!」

先輩「ほいきた!」

とポンプを上下させる先輩獣医。するとどうでしょう、みるみる4胃がしぼんでいくではありませんか!

私「これは気持ちいいっすね…」

先輩「なんせ早いからおススメだ」

みなさんも胃にガスがたまった時はぜひ使っΣ\( ̄ー ̄;)

 

もとい、こうして首尾よくガスを抜き、なんとか4胃を所定の位置に確保(実はこの確保が一番難しいのですが)。腹壁に固定後、閉腹して手術は無事完了となったのです。

 

秋の4変祭り開催

じゃあ次からは自分でやるように。

そんなことを言われてその場は終わり、手術した牛も一命をとりとめたわけですが、手術はそう簡単に覚えられるものでもありません。

 

家に帰っても今日やった手技の言語化、イメージトレーニング、関連文献の入手。

そして牧場で死亡牛が出たときは、それを使わせていただき、模擬手術。

そしてアマゾンでポンプを買う。(牧場に費用申請、「医療用具です」と言い張った)

とにかく技術を覚えるためにやれることは何でもやります。

 

と、1頭あやしげな牛が出る。餌を食べない。

打診すると金属音。出たな、妖怪四変。

おっかなびっくり一人で立ち向かい、何とか退治に成功したのでした。

 

しかしそれが合図だったのか、

「先生、牛が餌食べません!」

 

翌週また

「先生、今度は別の牛が(以下同文)」

 

毎週のように出るわ出るわ。2か月間で8頭は出たでしょうか。

さすがに青ざめる秋の4変祭りでした。

 

どうにかこうにか手術もやり切りまして、何かさみしげに形容される「祭りの後」は、言い知れぬ達成感と、もう暫く勘弁してくださいという満腹感でいっぱいになりましたとさ。






#73 同じ方向を見て

どうモー、うしコラムです。

2月3日は節分でしたね!

皆さん、豆まきして恵方巻を食べましたか?

 

恵方巻は、その年の良い方角である恵方を向いて、喋らずに黙々と食べます(喋ると運が逃げちゃうんだって!)。

恵方は「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」の4つしかなく、2024年は東北東でした。

 

日本中の人々が同じ方向を向いて黙々と恵方巻を食べている…想像するだけで、なんだか面白いですね!

 

ところでこの「同じ方向むいちゃう」現象、どうやら日本人の間だけで起きているわけではないようで。

牛が向いている方向は…

皆さん想像してください、自由に放たれている多数の牛を。

 

さてこの牛たち、一体どの方向を向いているでしょうか?

 

2008年、Google Earthの衛星画像を使って308カ所、8510頭の牛を調査した結果、大半の牛が南北の方向を向いていることが分かった、という論文が発表されました。※

 

この論文で、牛には地磁気(地球の磁場)を認識する力があるのかもしれないと示唆されたのです。

 

ちなみに、渡り鳥や、繁殖のために産まれた場所に戻ってくるカメや鮭では既に、移動のために地磁気を利用していることが分かっていました。

 

それから、他の動物たちも続々と地磁気を認識する力を持つことが分かってきています。

 

しかし、地磁気を認識する力を持っていたとしても、牛がなぜ南北を向くのか、その理由までは分かっていないそうです。気になる!!

 

一致団結

「同じ方向を向く」という言葉には、「一致団結する」「同じ目標に向かって頑張る」などの意味があります。

 

牛もただのんびりと揃って南(又は北)を向いているだけではありません。時には「一致団結」して…

 

獣医の仕事の邪魔をします(笑)。

 

例えば1頭に注射しようとすると、後ろから帽子をカミカミ、牛を押さえている手をナメナメ。

噛みつき・くすぐり・頭突きと、多方向から同時多発的に多様な責め苦(?)を浴びせてくるのです。

 

牛の団結力は素晴らしいですよね。今日も奴らのヨダレでずぶ濡れ確定です(;^_^A

 

出典

※Sabine Begallら「Magnetic alignment in grazing and resting cattle and deer」2008年






#72 誕生日

どうモー、うしコラムです。

 

2024年になって早1ヶ月。

さて、今回は祝日ネタです。

 

2月の祝日:2つの誕生日

2月は11日が「建国記念の日」、23日が「天皇誕生日」と、国と国の象徴、2つの誕生日がある月ですね。

国民の祝日に関する法律によりますと、「建国記念の日」は「建国をしのび国を愛する心を養う日」、「天皇誕生日」は「天皇の誕生を祝う日」と定められています。

 

日本って2月11日にできたんだ…と思いきや実はそうじゃない。

 

祝日名、よく見ると「建国記念””日」であって、「建国記念日」ではないのです。何?「の」って。

 

その理由は、「正確な建国日が分からないから」。

 

2月11日は、日本の初代天皇である神武天皇が即位した日とされています。

しかし、そもそも神武天皇は神話上の人物で、日本が建国された正確な日は不明だそうです。

だから「建国記念”の”日」とすることで、建国の記念日ではなく建国されたことをお祝いする日になったそうですよ。

日本語って難しい!

 

牛の誕生日はすぐわかる

実は牛の誕生日もスマホさえあればすぐに分かる、って知ってました?

 

牛の耳には、「耳標」と呼ばれる黄色いタグ(下の写真)がつけられており、耳標には10桁の数字が記載されています。

その数字を牛の個体識別情報検索サービス で入力して検索すれば、その牛の生年月日はもちろん、性別、移動情報まで分かっちゃうんです。

牛にプライバシーなんてものはありません…。
(ちなみに、豚や鶏には個体識別番号はないよ)

 

牛肉のパックをよく見てみよう!

以前BSEが日本で発生した際、牛や牛肉の履歴を追跡できるようにと、平成15年に「牛トレーサビリティ法」が制定されました。

これにより、現在日本で飼養されている牛には必ず10桁の個体識別番号が付与されるようになったのです。

 

ところで皆さん、お店で牛肉を購入する際、パックに貼られているシールをよく見てみてください。

消費期限や値段などに混ざって、どこかに個体識別番号が書かれているはずです。

 

それを検索することで、その牛がどこで産まれ、どこの農場に移動し、そしてどこのと畜場でお肉になったのかを辿ることができます。

こうやってしっかり情報が管理され公開されることで、牛肉の安心は守られているんですね。

皆さんも、一度検索してみると面白いかもしれませんよ。






#71 獣医の修行日記 妖怪四変その2

どうモー、うしコラムです。

 

さて、4つある牛の胃のうち、4番目の胃にガスがたまって体の右側もしくは左側に移動してしまう病気・第4胃変位(=妖怪四変)に遭遇したらどうしよう、というお話の続き。

 

その日は突然やってくる

おや、最近餌を食べたり食べなかったり…安定しないなぁ…という牛が、ある日突然現れる。

 

実はそれこそが、妖怪四変に取りつかれたサイン。

もしやと思って聴診してみると…第4胃変位!

 

診断は意外と難しいのですが、ざっくりいうと、打診してみてキンキンという金属っぽい音が聞こえたら第4胃変位の可能性大、というわけです。

 

牧場スタッフ「どうします?」

私「と…とりあえず内科的治療で様子を見ましょうか」

で消化管を動かす薬を使ってみるのですが、治らない。

 

牧場スタッフ「どうします?」

私「えー…先輩獣医に電話します」

とプライドもへったくれもないやり取りの後、地域の先輩獣医師に頼み込んで手術を教えてもらうことに。

 

牛をやっている限り、その日は必ずやってくる。むしろやっと来たといったところ。

妖怪四変、見事退治してみせよう!(先輩の手で)

 

退魔術展開(※手術です)

一通り手術の準備をすると

先輩「じゃあ麻酔しようか」

でスタート。切る部分を半分囲うように麻酔を注射。

私「ホントに切るんですか?」

先輩「何のために麻酔したのさ?」

ですよねー…で意を決してざくりと切る。

 

私「この瞬間が痛そうでイヤです」

先輩「慣れるしかないね、はい、筋層も切って」

そして腹壁も切って、とうとう消化管が見えるようになる。

 

私「とうとうここまできた…」

先輩「いやまだまだ序の口だから」

 

そんなこんなで4胃を探っていくと、パンパンに膨らんだ袋が触れる。

 

触れる、というのは、切開部分の大きさに対して腹がでかすぎて4胃を見ることはできないので、手探りするしかない、ということ。

 

私「これ、4胃すか?」

先輩「(手を入れながら)うん、正解。じゃあガスを抜こうか」

私「(ゴクリ)こ…こんなデカいもの、どうやって…」

 

そして先輩獣医は不敵に笑って、おもむろに秘密の退魔兵器を取り出すのだった。

続く!

 

 






#70 初夢

どうモー、うしコラムです。

新年明けましておめでとうございます。

今年の初夢はいかがでしたか?

縁起が良い初夢として「一富士、二鷹、三茄子」とよく聞きますね。

これは江戸時代から伝わる言葉で由来は諸説あるそうですが、当時将軍であった徳川家康に縁の深い駿河の国(現在の静岡県)の名物を並べたという説が有力だそうです。

また「富士」は「無事」「不死」、「鷹」は「高」「貴」、「茄子」は「成す」が連想され、不老長寿や出世、成就を表わすとも言われています。

ちなみに夢占いにおいて牛は、豊かさや財産を象徴しているそうですよ。

ただ牛の夢の運気は継続性に欠けることが多く、長く続かないそうで(笑)。

 

山と牛

富士山が出てきたので、山と牛に関する話を1つ。

高原での養牛は各地で行われているんですよ。

熊本県の阿蘇山麓、鳥取県の大山、岡山県の蒜山高原、栃木県の那須高原etc.

また、富士山の麓でも富士山牛というブランドで養牛が盛んに行われています。

 

高原での養牛には様々なメリットがあるんですよ。

例えば、高原は稲作や畑作には向きませんが、高温多湿が苦手な牛にとっては快適な環境です。

そして牛に必要な水も豊富!しかも高原は大抵水質がいい。

 

水があって涼しくて広いけど作物を作るには不向きな高原。

養牛はそんな地域をしっかりと支える産業なのです。牛さん有難し!

 

鳥海山の別称は…

ところで、秋田県と山形県の県境にある『鳥海山』は、標高2236mの活火山。

山頂に雪が積もった様子が富士山と似ていることから、秋田県民から出羽富士とも呼ばれています(ちなみに山形県民からは見れば庄内富士)。

 

そしてここの麓では、秋田牛である秋田由利牛が育てられているんですよ。

鳥海山(出羽富士)を背景に悠々と草を食べている秋田由利牛の夢が見られたら…なんだかとっても縁起が良さそうですね!

 

なんて初夢とつながったところで、本年もどうぞよろしくお願いいたします。






#69 十二支

どうモー、うしコラムです。

あっという間に2023年が終わろうとしています。

2024年は「辰年」ですね。

今回は、十二支についてお話しようと思います。

 

十二支と干支は違う

十二支は、皆さんがよく知っている「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」です。

一方、干支は、十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)に十二支を組み合わせたもの。

カレンダーに甲子(きのえね)など書かれているのを見たことがあると思います。

ですので、「干支は辰です」という表現は厳密には間違い。

正しくは、「2024年の十二支は辰」又は「2024年の干支は甲辰(きのえたつ)」なのです!

 

また、十二支は方角や時刻も表すのにも使われています。

例えば、丑(うし)がらみでいくと…

方角では子が北、午が南なので、「丑」は北北東。

時間では「丑」は午前1~3時のことで、「草木も眠る丑三つ時」の「三つ」とは、1~3時を30分刻みで数えて3番目の時間。つまり午前2時~2時半を指します。

 

国によっては「猫年」もある

そもそも十二支の漢字を見ても、動物とは結び付かないですよね。

実はこれらの漢字は、季節ごとに移り変わる植物の様子を表わしているそうです。

では、なぜ私たちは動物を思い浮かべるのか?

所説ありますが、ただ漢字を見て呪文のように唱えても覚えにくい!
何か覚えやすい方法はないかな…そうだ!読み方で連想される動物をあてよう!というのが一説。

だから、残念ながら「丑」は、動物の牛とは全く関係がないんです。

ところで、中国から日本に広まった十二支ですが、実は日本以外でも韓国、タイ、ベトナム、インド、ロシアなど、他の国々にも普及しているんですよ!

これは、中国がシルクロードを通じて広く交易していたからと言われています。

 

面白いのは、国によってあてられた動物が微妙に異なること。

ベトナムの「丑」は水牛、ベトナムやタイ、ベルラーシの「卯」は猫、モンゴルの「寅」は豹、などなど.

来年の「辰」は、イランでは「鯨」に置き換わっているそうです。

 

2024年は甲辰…勢いよく活気あふれる年と言われています。

明るく希望を持って、皆様良いお年をお迎えください。






#68 牛獣医の修行日記 妖怪四変 その1

どうモー、うしコラムです。

いよいよ年の瀬も近くなりました。

今年はいつもよりも暖かく、なんだか変な気候。

そんな変な年を象徴するかのような恐ろしい出来事が、この秋は起こったのです…(小声)。

 

今回は今年の秋、ある牧場を襲った奇々怪々なお話…。

 

転職獣医師の悩み

今年の夏。

とある牧場の獣医師が(いや私のことですが)、頭を抱えていました。

 

彼は会社員獣医師で臨床未経験であったにもかかわらず牧場勤務へのトラバーユを決意し、なんとか繁殖の仕事のまねごとができるようになった時点で、ひとり、牛の群れに放り出されたような状況でした。

そんな彼の悩みは、外科手術に全く自信がないということだったのです。

 

このまま外科ができないままでよいのだろうか?

 

いや良いわけがない。牧場の管理獣医師として手術もできないなどありえない。

 

昨年は全く平和なもので、手術が必要な場面など皆無だったのが更に良くない。全く経験を積む余地がなかったからです。

 

しかし、恐怖の季節は刻一刻と迫っていたのです。

 

妖怪「四変(よんぺん)」がやってくる

正式名称「第4胃変位」、略称4変。

牛には胃袋が4つあり、そのうちのひとつ、第4胃は、通常右でも左でもない中央に位置しています。

しかし何かの拍子に第4胃にガスがたまり、右側もしくは左側に移動してしまうことがあるのです。

すると第4胃がねじれてしまい、そこから先に食べたものが進まない。最悪死んでしまうこともあるというこわーい病気。

直す方法は色々あるが、なんだかんだ言って手術が最も確実です。

 

4変が起きやすいのは分娩後。お腹の中の大きな胎子がいなくなって、その隙間に向かって消化管が動いた拍子に発生してしまうことがよくあります。

なので、季節を問わずいつでも起こる可能性があるのですが、どうも秋に起きやすいというイメージがあるようで、アンケートを取ってみてもこの通り。

 

質問:4変の出やすい季節はいつですか?(独自調査、獣医師に質問)

回答数16とはいえ、こうもダントツの結果になるとは。

 

ともあれこの手術ができるようにならなければならない。

妖怪「四変」、このメスで退治てくれよう!

と自信を持って言えるようになりたい(及び腰)。

 

さあこの秋はどうなったのか!?続く!

 






#67 家畜を病気から守ろう!

どうモー、うしコラムです。

本格的に冬がやってきましたね。

特に朝晩の冷え込みは牧場作業者の大敵。肌がガッサガサになって痛いのなんの。ハンドクリームが手放せません。

ということで今日はお肌がらみの話です。牛のね。

 

海外で流行っている今話題の牛の皮膚病

牛の肌の病気で最近話題なのが「ランピースキン病」。

牛の皮膚にたくさんブツブツができる感染症です。どんな病気かって、写真はコチラから農水省のページへGo!

 

日本にはない病気のためあまり聞かないかもしれませんが、先日の韓国での大発生を受け、日本も警戒モードになっています。

 

この病気はもともとアフリカでのみ発生していたのですが、2012年ごろ中東に拡散。2019年には中国で発生し、今年(2023年)11月にとうとう韓国でも発生が確認されました。※

※出典:農水省 令和5年10月25日

 

発生したら対策は…

しかしこの病気、たかが皮膚のデキモノと侮るなかれ。

致死率こそ高くないですが伝染性が強く、肉牛は痩せていき、乳牛では乳量が落ちる。生産物よりコストのほうが高くなって畜産業は成り立たなくなっていきます。

ワクチンも治療薬もない現状では、感染拡大を防ぐ方法は、感染牛の殺処分しかありません。

その際、同居している動物は、まだ発症していなくても感染の可能性ありとして、もろともに殺処分対象となることもあります。

 

私も2010年、九州で牛・豚に口蹄疫という病気が発生した時に獣医師としてこうした作業に従事したことがありますが…本当に悲しい出来事でした。

 

消毒マットは必ず踏もう!

動物を病気にさせないよう、農業従事者は病原体を農場に持ち込まない努力が必要です。

 

でも、農業従事者でなくても、私たち一人ひとりにもできることはあるんですよ。

 

それは靴底の消毒!!

 

特に国際線のある空港では、靴底を消毒するために、消毒マットが必ず設置されています。

これは、海外の家畜の伝染病を日本に持ち込まないようにするためです。

動物園やふれあい牧場、観光地ではお店の前やホテルなどでも設置されていますね。

「なんかマットが敷いてあるな…濡れてるから避けて通ろう」は絶対ダメですよ!

海外に行かれる方はもちろん、国内の移動であっても、消毒マットがあったら必ず踏んでくださいね!