どうモー、うしコラムです。
朝夕、ちょっと涼しくなってきましたね。暑さが和らいだせいか、牛もちょっと活発になったような気がします。
気が付けば今年も今月を入れてあと4か月。早いものです。
さて皆さんは猫に体を舐められたことはあるでしょうか?
猫の舌は結構ざらざらしていて、舐められるとちょっと痛かったりしますね。
あれは舌乳頭(ぜつにゅうとう)とよばれる組織のひとつで、糸状乳頭というのですが、ネコ科動物だと歯では取り切れない肉片をこそぎ取って食べるのに役立っています。顕微鏡で見るととても尖った組織ですし、もともと捕まえた動物の筋肉を削り取るのが役割ですから、舐められたらそれは痛いわけです。
同じところを何度も舐められてヒリヒリして、「痛いなぁ、もう、こいつめっ」みたいなやり取りを猫とした人は多いのではないでしょうか。
では皆さんは牛に体を舐められたことはあるでしょうか?
ご経験のある方は共感していただけると思いますが、
めちゃくちゃ、とは言い過ぎまでも、予想以上に痛いです!
牛は好奇心旺盛で、気になったものは舐めて確認することもあり、私たち獣医も牛からよく「確認対象」にされてしまうんですよ。そうなると猫とのやり取りのようなほのぼのした対応をしている場合ではありません。
顕微鏡で見ると舌の表面には犬歯のように尖った組織がたくさん生えていて、これも草を絡め採って飲み込むのに役立っていると考えられています。
焼肉屋で出される牛タンからは表面がつるっとしていてイメージがつかないかもしれませんが、それもそのはず。実は牛タンは加工過程で、糸状乳頭のついている皮膚部分はきれいにカットしてしまうからなのです。
皮膚の部分は固いし、そんな針のようなものがびっしり生えているので口触りが悪くて美味しくないので、除去するわけですね。
牛タンは1頭から1~2kgぐらいしか取れない貴重な部位で、この皮剥ぎ(「筋引き」とも言うそうですが)が上手くいかないと商品価値が落ちるので、まるで寿司職人のような繊細な技を持った技術者が丁寧にカットしてくださっているんですよ。
ところで何故牛タンの話題を書いたかというと、9月10日が「牛タンの日」だったからなんですね。
9(きゅう)と10(テン)で「ギュウタン」ということで、「仙台牛たん振興会」によって、2018年に制定された日だそうです。
ちなみに今月で言うと9月16日が「牛とろの日」など、牛や肉に関する記念日はちょくちょく暦にちりばめられていて、コラムニストにとっては全く油断も隙もありません。