どうモー、うしコラムです。
この前、私の所属する農場も気温1℃になって、凍えた手を牛のおしりに突っ込んで(直腸検査ですヨ、仕事ですヨ)「あったけぇ…」と思わずほっこり…
いやそんなことはともかく。
5年に1度の和牛の祭典、全国和牛能力共進会鹿児島大会が先月終了。生産現場では余韻に浸ることなく、次の北海道大会に向けて準備が進んでいることでしょう。
簡単に振り返ってみますと、今回は何といっても鹿児島・宮崎の強さが光った大会でした。各区のトップ3は下表のとおりです。
区 | 優等-1席 | 優等-2席 | 優等-3席 |
1区 若雌 | 鹿児島 | 大分 | 岩手 |
2区 若雌の1 | 大分 | 宮崎 | 鹿児島 |
3区 若雌の2 | 宮崎 | 鹿児島 | 宮崎 |
4区 繁殖雌牛 | 鹿児島 | 宮崎 | 北海道 |
5区 高等登録 | 鹿児島 | 宮崎 | 北海道 |
6区 総合評価 | 鹿児島 | 宮崎 | 島根 |
7区 脂肪の質 | 宮崎 | 島根 | 広島 |
8区 去勢肥育牛 | 鹿児島 | 島根 | 岐阜 |
特別区 高校・大学 | 鹿児島 | 宮崎 | 岩手 |
審査では、牛の外観や発育状態のほか、種牛としての能力や産肉能力、肉質などが評価されます。体型は太っていても痩せていてもダメ。理想的な範囲に収まっていることが重要です。
共進会では、全国各地から地方予選を勝ち抜いた猛者(猛牛?)が集まります。それなりに素晴らしい体型・肉質の牛ばかりのはずですが、しかしそこは生き物。予選から大会当日までその体型を維持できるとは限りません。
動物にとって輸送によるストレスは大きいものです。例えば、下のグラフは6区に参加した秋田の牛と鹿児島の牛の体重を比較したものですが、鹿児島の牛の体重は比較的そろっているのに対し、秋田県の牛は体重が落ち、ばらついてしまいました。(グラフの縦軸は体重)
いかに牛のベストコンディションを保ったままでの長距離移動が難しいかが分かりますね…。
そこでふと疑問が生じます。
前回の宮城大会、この時鹿児島の牛は、今回とは逆に長距離移動する立場となっていました。しかしそれでも良い成績を納めています。
いったいどうやって?
鹿児島の方に伺ってみると
「実は移動中に痩せることを見越して、予めちょっと太めにしておくんですよ」
…まさかそんな技があるとは!!
さらっと言われましたが、決して簡単なことではないでしょう。まさに模倣困難のノウハウが蓄積されているのだろうな…と思いました。
インタビューに答えてくださった方がおっしゃるには
「大会が終わるまで、スタッフも獣医師も、凄くピリピリしてましたよ(笑)」
…実に想像に難くない。
和牛が、各県こうして品質を磨き合ったうえで私たちの手元に届くことを、改めて実感しました。
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