どうモー、うしコラムです。
このコラムを書いている時点ではまだまだ暑い日が続いています。
まだこの強烈な日差しが続くとは全くの予想外。
病気の牛を治療するときは、牛舎につないで診察するのですが、このときジリジリと照り付ける日光をとても厳しく感じます。場所によっては牛の頭にも強烈な日差しが降り注ぎ、牛にもきつそうだなぁと思わずにはいられません。
皆さまもどうぞご自愛ください。私は1回ぶっ倒れました(笑)。
今さら土用の話
普通、ウナギを食べてスタミナをつけましょうといった話が盛り上がるのは土用の丑の日、2024年は7月24日と8月5日でした。
土用というのは、季節の変わり目の18日間を指すそうです。自然界のあらゆるものを木・火・土・金・水の5つの要素に分類する「五行説」に基づき、四季を春=木、夏=火、秋=金、冬=水と位置づけ、それらの変わり目を「土」としたそうです。
昔は日々にも十二支を当てはめていたそうで、毎日「子の日」や「辰の日」といった日があって、つまり土用期間の「牛の日」に当たるところを「土用の丑の日」と呼んだわけです。
昔から「丑の日」というのは何かをするのに重要な日と位置付けられていたのですが、どんな意味があるのかはよく分かりませんでした。もしかすると、漢字の「丑」には本来「つかみ取る」という意味があるので、縁起の良い日とされていたのかもしれません。
ともあれ、夏の季節の変わり目は体にもこたえるので、丑の日に何かガッツのつくものを食べようということで、夏の「土用の丑の日」がクローズアップされてきたわけです。
かば焼きの雑学
さて、丑の日と言えばウナギのかば焼き。
かば焼きというのは漢字で書くと「蒲焼」。語源について説がいくつかあって、ひとつはウナギをぶつ切りにして竹串に刺した様子が蒲の穂(下の写真)に似ているから、と言われています。
…まあ、そう見えないこともない。
もうひとつの説は、いい匂いが素早く鼻に入ってくる「香疾(かばや)」が語源というもの。あの香りを嗅ぐだけでも幸せな気分になりますね。
しかし実は、ウナギといえども、何もつけない素焼きではそこまでの香りは出てきません。
そこで注目したい、かば焼きの「タレ」。
匂いについての文献†を紐解いてみると、あのタレと一緒に焼くことで香り成分ピラジンの量が増強されるということが証明されています。あの幸せの香りはタレの力によるものだったのか―!
ところであのタレ、お店それぞれに秘伝のレシピがありそうですが、実は材料自体は醤油・砂糖・みりん・酒とシンプルなもの。自宅でも作れてしまうものなのです。
さて、それではいっちょ「かば焼き」を自宅で楽しんでみませんか?
次回、手軽にガッツのつくものを食べたいという方必見!
ウナギの代わりに牛肉を使って、「かまくら風・牛肉のかば焼き丼」ご紹介!
†参考文献 魚肉焼臭成分(1975)