どうモー、うしコラムです。
本コラムで扱ってきたお肉についての物語も、イチボ、ランプ、サーロイン、ヒレ、リブロース、肩ロース、外バラ、中バラ、中落と、だいぶ進んできましたね。しかし肉の部位はまだまだあります。もうしばらくお付き合いくださいm(__)m。
今回はモモ肉について、ちょっとしんみりしたお話を。

牛の獣医をやっておりますと、これはどうにもならない…と治療を諦めなければならない状況に直面することがあります。その一例が、意外に思われるかもしれませんが「肉離れ」です。
例えば、乳牛などで時々発生するのですが、驚いて急に動いたりした拍子などに滑って転ぶことがあります。
牛の脚って結構繊細…というか、体が何しろ大きいので、転んだ時に脚に来るダメージがとても大きいのでしょうね、それで肉離れを起こすことがあるのです。
この肉離れが牛にとっては致命傷。自力では立てなくなるし、もちろん人間で介助することも無理、重機を使って立たせるとしても、そんなに長い時間はできません。そして立てなくなると、脚が自重で押しつぶされ、血流が止まって組織が壊死してしまうのです。そうなると、もう人間の力では救いようがありません。牛は経済動物ですから、やむを得ずお肉になってもらうしかないのです。元気だったのに…と悲しくなりますね…。
この時ダメージを受ける筋肉の代表格が、後肢の内転筋や腓腹筋。人間で言うと太ももの筋肉とふくらはぎですね。肉の部位で言うと、内転筋=内モモ、腓腹筋=ハバキ(外モモの一部)といったところです。
※注意:こうしたダメージを受けて炎症の激しい部位の肉が市場に出回ることはありません。
こんな事故が起こらないように、牛舎では人間はそろりそろりと動きます。急に動くと牛がびっくりして転ぶので。みなさまも観光牧場に行かれた際は、牛を脅かさないようにお気を付けください。
さてこの内モモと外モモ、以前紹介した筋肉の種類・速筋/遅筋(#139)でいうと、体を動かす部位なので速筋ということになります。速筋は脂肪が少なく、筋線維やスジ(コラーゲン)に富む性質がありましたね。そしてそのような筋肉はステーキよりも煮込み向きであるということでした。
しかし内モモはスジが少ないため、いわば速筋と遅筋の良いとこ取りをしたような性質があります。脂が少なくてさっぱりしているけれども、ステーキでもイケる。もちろん煮込みもOKという多用途部位。よく使われる料理としてはローストビーフが有名です。(ローストビーフのレシピは#54を見てネ!)
一方、外モモは総じてスジが多く、こちらは煮込み向きです。
いろんな料理でお楽しみください!
















