どうモー、うしコラムです。
いよいよ年の瀬も近くなりました。
今年はいつもよりも暖かく、なんだか変な気候。
そんな変な年を象徴するかのような恐ろしい出来事が、この秋は起こったのです…(小声)。
今回は今年の秋、ある牧場を襲った奇々怪々なお話…。
転職獣医師の悩み
今年の夏。
とある牧場の獣医師が(いや私のことですが)、頭を抱えていました。
彼は会社員獣医師で臨床未経験であったにもかかわらず牧場勤務へのトラバーユを決意し、なんとか繁殖の仕事のまねごとができるようになった時点で、ひとり、牛の群れに放り出されたような状況でした。
そんな彼の悩みは、外科手術に全く自信がないということだったのです。
このまま外科ができないままでよいのだろうか?
いや良いわけがない。牧場の管理獣医師として手術もできないなどありえない。
昨年は全く平和なもので、手術が必要な場面など皆無だったのが更に良くない。全く経験を積む余地がなかったからです。
しかし、恐怖の季節は刻一刻と迫っていたのです。
妖怪「四変(よんぺん)」がやってくる
正式名称「第4胃変位」、略称4変。
牛には胃袋が4つあり、そのうちのひとつ、第4胃は、通常右でも左でもない中央に位置しています。
しかし何かの拍子に第4胃にガスがたまり、右側もしくは左側に移動してしまうことがあるのです。
すると第4胃がねじれてしまい、そこから先に食べたものが進まない。最悪死んでしまうこともあるというこわーい病気。
直す方法は色々あるが、なんだかんだ言って手術が最も確実です。
4変が起きやすいのは分娩後。お腹の中の大きな胎子がいなくなって、その隙間に向かって消化管が動いた拍子に発生してしまうことがよくあります。
なので、季節を問わずいつでも起こる可能性があるのですが、どうも秋に起きやすいというイメージがあるようで、アンケートを取ってみてもこの通り。
質問:4変の出やすい季節はいつですか?(独自調査、獣医師に質問)
回答数16とはいえ、こうもダントツの結果になるとは。
ともあれこの手術ができるようにならなければならない。
妖怪「四変」、このメスで退治てくれよう!
と自信を持って言えるようになりたい(及び腰)。
さあこの秋はどうなったのか!?続く!