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#83 バナナ

どうモー、うしコラムです。

ゴールデンウィークは皆さまいかがお過ごしでしたでしょうか?

 

私?畜産獣医に大型連休なんてないですよーあははー。

2日と3日は牧場の仕事は休みだったのですが。

通常、月末月始は共済に提出するカルテを書くのに大忙しで、今月もその例に漏れずせっせと書き上げる連休でした。

 

うーん、つまり休んでいないですね。

 

GW明けには「バナ活の日」がある

 

今年は6日までお休みで、明けた7日は重い気分で迎えた方も多いのではないでしょうか?

 

しかし実は7日も特別な記念日。なんと「バナ活の日」!

 

正式名称「Doleバナ活の日」。生鮮果物や缶詰で有名な株式会社Doleが制定し一般社団法人日本記念日協会が認定・登録した日です。2023年からだそうで、わりと新しい記念日です。

バナナの「ナナ」にちなんで、毎月7日をバナ活の日にしたそうで。

バナ活というのは、そのまんまバナナを食べる活動のことで、1日2本バナナを食べると健康にいいよ、ということなのだそうです。

 

調べてみると、バナナと牛肉の組み合わせの料理も結構発表されていますね。気になる方は是非ググってみてください!

いずれ、かまくらミートでもオリジナルレシピを作ってみたいと思いました。

 

牛にもバナ活がある

驚いたことに、昨今、牛に対してもバナ活が注目されています。

バナナは子牛の下痢予防に有効とか、子牛の免疫力を高めるとかいった効果も発表されていて、バナナ配合の飼料もあるほどなのです。

1日1本、5日間バナナを食べさせるとリンパ球(体を守る細胞)が増加した、という実験結果も発表されていますね。

 

子牛はよく下痢をします。そして脱水が進むとすぐに死に至るので、本当に侮れません。

バナナ数本でそれが防げるなら、牛飼いとしては試しにやってみたいなぁと思います。

 

さて、これから暑くなっていくと食中毒も増えてきますね。牛も環境中の雑菌が増えるので、下痢や乳房炎が心配な季節になっていきます。

皆様もどうぞお気をつけて!

 

 

 






#82 牛のマイレージ

どうモー、うしコラムです。

新年度に入り、1ヶ月が経ちました。

環境が大きく変わったという方もいらっしゃると思います。体調を崩されませぬよう、ご自愛くださいm(__)m。

 

ところで、新しい環境で体調を崩しやすくなるというのは、牛でもよく見られます。

実は牛って、必ずしも一生を一つの農場で過ごすわけではなくて、数日で日本縦断することだってあるんです。

今回は、肉牛の移動についてお話したいと思います。

 

多くの牛は引っ越しを経験する

肉牛の農家さんには、繁殖農家と肥育農家がいます(中には両方される農家さんもいます)。

繁殖農家は9か月齢ぐらいまでの子牛を肥育農家に販売します。

 

この子牛売買の現場(セリ)には、実は日本各地から購買者がやってくるのです!

 

例えば、今年4月、宮崎県で行われたセリでは、約半分の牛が県外の農家さん(四国、本州、北海道まで!!)に売られていました。(出典:JAみやざき都城地区本部)。

こうして子牛は、なかなかの大旅行をすることになるのです。

 

新居に着いたら、しばらくは個室がベスト!

さて、新しい農場に着いた転校生(牛)は、すぐに牛群に入れずしばらくは元々いる牛とは離して飼育します。

そうする理由はいくつかあって…
①先住の牛たちが「あぁん?なんだテメェ、俺たちのメシ食おうってのか」と言わんばかりに転校生の食事を邪魔することがあったり。

②転校生が移動や環境の変化、餌の変化等で受けるストレスから病気になることもあったり。

③逆に転校生が何か病気を持ちこんで、ほかの牛にうつしてしまったり。

ということがあるので、慎重に受け入れ、よく観察しないといけないのですね。

 

そして新しい環境に慣れ、餌と水を十分に摂取できて毛並みもよし!となったら、徐々に仲間にいれてあげます。

 

強いストレスに打ち勝つためには、免疫力をあげる!

そのために、しっかり栄養を取って睡眠をとってリラックスできる環境を整える!

このへんは人も動物も同じですね。






#81 レシピ公開!ハレの日にぴったり牛肉のパイ包み・赤ワインソース

どうモー、うしコラムです。

お待たせしました、今回は「秋田牛のパイ包み」のレシピをお届けします。

前回ご紹介した「初代ウェリントン公爵」もきっとこの一品には納得のはず!

 

材料と、パイ包みの作り方

まずは本体となるパイ包みの作り方。本家のビーフウェリントンは生ハムを敷いたりパイ生地がもっと厚かったりするそうですが、より手軽なアレンジになっています。

■材料

・リブロース100g
・冷凍パイシート2枚
・マッシュルーム1パック
・玉ねぎ100g

作り方はコチラ!(ちょっと画素が荒いです、スマホで見てくださいね!)

プロの華麗な包丁さばきも必見です。

玉ねぎとマッシュルームは焦がさないように水分を飛ばすイメージで、飴色に色づいて,ペーストのような形になればオッケー、なのだそうです。

 

赤ワインソースの作り方と、パイの焼き方

続いてソースも作っていきましょう。作り方は動画後半をご覧ください!

■材料

・赤ワイン300cc
・ケチャップ30g
・醤油10g
・無塩バター10g
・水少々

オーブンは200°で20分ほどで焼き上げるのですが、このへんはご家庭の機材によって変動するそうです。ご了承ください。m(__)m

さていかがですか!?

これは美味そうじゃないですか!?

この料理が、ご家庭の、特別な1日のおともになれたら幸いです。(#^^#)

 

レシピ提供:細井 庸平さん

和食、会員制フレンチ、パティスリーなど幅広い経験を持つ料理人。直近では麻布十番の名店で勤務し、その卓越した技術を磨いた。27歳で独立。
料理のスタイルは季節の食材を使ったジャンルに囚われないフレンチに和のエッセンスを加えた料理で多くのお客様を魅了している出張料理人。






#80 レシピ裏話:料理名になった人物のこと

どうモー、うしコラムです。

先日、牛の形をしたウイスキーボトルを発見しました。

著作権の都合で直接写真を掲載できないのが残念ですが(コチラから見ることはできますよ)琥珀の液体の入ったボトルは、さながら本物の肉牛のよう。

中身はウイスキーの「ナポレオンXO」とのこと。

 

ナポレオンと言えば

言わずと知れたフランスの天才軍人にして、フランス革命後の皇帝になった人を思い浮かべます。

そう、この人。「不可能」という言葉を削除した特注品の辞書を持っていました(嘘)。

 

皇帝になった後、その勢力範囲を広げるのですが、ロシア遠征に失敗し、エルバ島に島流しになります。

 

しかし不屈の英雄・ナポレオンは島を脱出し復権。フランスに対抗して同盟を組む諸外国と、乾坤一擲ともいうべき戦いを繰り広げることになりました。

戦場は現在のベルギーにあるワーテルロー。

迎え撃つのはイギリス・オランダ連合軍、指揮官は初代ウェリントン公爵ことアーサー・ウェルズリー!

この人こそ、ワーテルローの戦いにてナポレオンを破り、その野望を打ち砕いた人物でした。

 

ウェリントン公爵の好きなもの

 

実は初代ウェリントン公爵の名前は、牛に関連する(?)幾つかのものの由来になっています。

 

ひとつは今も牛どころとして有名なニュージーランドの首都・ウェリントン。

もうひとつは、イギリスでクリスマス料理として親しまれている料理「ビーフ・ウェリントン」。これに関しては諸説ありますが、ウェリントン公爵の好物だったので、その名を冠したと言われています。

それは牛肉のパイ包みで、見た目はそう、こんな感じ。牛肉を塊でいただく、贅沢な一品です。

いかがでしょう、これ、ちょっと食べてみたくありません?

次回はご家庭でも比較的簡単に作れるようにアレンジしたパイ包みレシピをご紹介します!

 

 






#79 子育てしやすい季節

どうモー、うしコラムです。

農家さんへ向かうあぜ道が、色とりどりの花で鮮やかになってきました。

春ですね!

 

植物だけでなく、動物界も賑わってくるこの季節。

食べ物が豊富にあって気候が穏やかで子育てしやすい春に子どもを産む動物は多いです。

では、どうやって動物たちは季節を認識しているのでしょうか?

 

日長の変化を認識

 

春になると昼間の時間(日長)が長くなりますね。

夜の間だけ作られるホルモンがあるのですが、哺乳類はどうやら「その作用時間が短くなった」というのを感じ取って、春の訪れを認知するらしいのです。

参照:中山亨「生物はいかにして季節を読み取っているか」(2005)

 

ところで動物の繁殖は、ウマ・ヒツジ・ヤギなど季節限定で繁殖活動を行う季節繁殖と、ウシやブタのようにいつでも繁殖活動が可能な周年繁殖に分けられます。

ウマなどの妊娠期間が1年の動物や、交尾後2か月くらいで生まれてくるような動物は、日長が長くなってきた頃(春頃)に繁殖活動を行います。

一方で、ヒツジやヤギなどの妊娠期間が半年くらいの動物は、日長が短くなる頃(秋頃)に繁殖行動を行います。

そしてどちらも、子育てのしやすい春に子どもが生まれるのです。

動物は子育て計画がしっかりしていらっしゃる。

 

牛は周年繁殖、だけれども

 

牛は1年中繁殖活動が可能な周年繁殖動物です。

なので、春しか発情も受胎もしない、ということはありません。

しかし現場で人工授精をやっていると、春には受胎しやすく、約285日の妊娠期間を経て晩冬から春にかけて分娩が多くなる傾向があり、「やっぱり春に子育てしたいのかなぁ」と思います。

日本では、なんとか調整して毎月平均的に子どもを生ませるのが一般的ですが、広大な土地があって放牧できるような国では、餌がたくさんある(草が生えてくる)春頃に出産を迎えるよう調整する、なんてこともあるようです。

 

そんなわけで、人間も、おいしいお肉を食べて春をアクティブに過ごす!なんてのはいかがでしょうかっ!?

 

 






#78 斑紋

どうモー、うしコラムです。

前回は、和牛は個体を特定する手段の1つとして鼻紋を登録しているというお話をしました。

一方で、牛乳を生産してくれる黒白模様のホルスタイン種は、見事な程に牛ごとに柄が違いますね。

この黒白模様(斑紋)は、人の指紋と同じく成長しても変わりません。

かつては、血統登録時に個体識別確認のため、斑紋をスケッチして証明書に載せていたそうですが、現在は個体識別番号(耳標)でOK!(ただし雄を血統登録する際は、現在も斑紋スケッチが必要)。

たった2色の世界なのに奥が深いホルスタイン種。

今日はお肉からちょっと離れて、牛乳を生産してくれるホルスタインにスポットを当てます!

 

ホルスタインの法則(テストには出ません)

ホルスタイン種は、牛乳をたくさん取ることを目的に品種改良されました。

そんな彼女らの正式名称は「ホルスタイン・フリーシアン」。

ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州を起源とし、オランダのフリースランド地方で品種改良されたことに由来します。

特徴である黒白模様には、1つ重大な規則があります。

それは、4本の足の踝(くるぶし)あたり、しっぽ、お腹は必ず白色が入っていること。

このため、昔は「六白牛」とも言われていたそうです。
(確かに、ホルスタイン種の写真を検索すると皆6カ所白い!)

ただし、現在のホルスタイン登録協会の条件では、上記の6カ所のいずれかが黒くても、その父牛及び母牛が一定の条件を満たせば血統登録できるそうです。

参考)一般社団法日本ホルスタイン登録協会

 

赤白のホルスタインもいる!

ホルスタインと言えば黒白。

しかし、たまに赤白の可愛らしい子もいるんです。

それがコチラ。じゃん!

血液や赤信号の赤ではなくて、明るめの茶色ですが。

この色でも、今では立派なホルスタインとして認められています。

 

ちなみにこの赤色遺伝子はその昔、更なる品種改良を目的として肉牛であるショートホーン種という赤牛と交配させた影響によるものです。

ショートホーン種との掛け合わせは乳量が伸びず上手くいきませんでしたが、今でも赤色遺伝子が引き継がれていて、たまにこんな色合いで生まれてきます。

よく「赤白からはカフェオレが出てきそうだ」といったコメントをいただくのですが、乳成分にコーヒーは含まれません(そりゃそうだ)ので、ご了承ください。






#77 鼻紋

どうモー、うしコラムです。

少し遡りますが、3月3日は桃の節句、女の子の健やかな成長と幸せを願う日でしたね。

雛人形を飾ったご家庭も多いと思います。

近年は、気軽に飾ることのできるコンパクトなタイプも多いですが、お店などで見ることができる7段の雛人形は、やはり圧倒されますね。

同じ顔に見える…のですが、よく見ると1人1人表情が違っており、特徴を知っていれば皆ちゃんと識別できます。

雛人形は識別できるけれども…そんな私を惑わす識別困難な顔があります。

そう!和牛!

 

乳牛のホルスタイン種は、白黒模様がそれぞれ個性的で判別しやすいのですが、お肉になる和牛の判別は至難の業。

 

しかし不思議なことに、農家さんの中には、何十頭も飼育している牛さんの顔を覚えている方も結構いて、牛への愛情を感じる瞬間でもあります。

 

人は指紋、ならば牛は…

私たちが普段どうやって牛を判別しているかというと…100%、耳標に記載されている個体識別番号です(#72参照)。

日本で産まれた牛はもちろん、海外からやってきた牛も、日本で飼育されるには必ず個体識別番号が付与されます。

なので、この耳標はとても大事なものなのですが、もう1つ、和牛に限ってのことですが、あるものを使って個体の認証識別をするのです。

 

それは…鼻紋(びもん)!

 

鼻の模様で、人間の指紋のように牛1頭1頭違い、更に成長しても変化しません。

和牛は子牛の時に取った鼻紋が子牛登記証明書にしっかりと載っています。

 

普段の識別は個体識別番号ですが、耳標が外れた時や二重チェックが必要な場面では、この鼻紋が役に立つんですよ。

 

ちなみに鼻紋の取り方は、You Tubeで「牛 鼻紋」と調べれば出てきます。

短時間で手際よくできているように見えますが、それはプロだから。結構大変な仕事なんですよ。

 

なぜ和牛だけ鼻紋を?

和牛はお肉になる牛のため、サシの入り方や成長の仕方(どれだけお肉がとれるか)など、遺伝的な要素が重要視されます。

つまり、牛1頭1頭で価値が大きく異なり、絶対に個体識別のミスが起こってはいけないんです。

だから個体識別番号に加え、鼻紋も登録しているのですね。

人の指紋と一緒で使われることは少ない鼻紋ですが、いつか牛さんを間近で見る機会がある時は、じーっくりと鼻を見つめてみてください!

 






#76 牛獣医の修行日記 痛い話

どうモー、うしコラムです。

朝晩かじかんでいた手先足先の痛みがだんだん和らいでいくと、いよいよ春が近いと感じますね。

痛みつながりで、今回は牛獣医をやっていて痛かった話を少し。

 

蹴り!

野生の牛のキック力は、場合によってはライオンを殺すほどの威力があるそうですが、獣医は牛が嫌がること(注射とかお尻に手を突っ込むとか)をする以上、それを食らうことを覚悟しなければなりません。

牛に注射をするときはお尻の周りにすることがあるのですが、よりにもよってその時は暴れ牛でした。

刺した瞬間、牛は飛び上がり、そのまま強烈なキックを私の膝に!

みしっ

と何かがきしむ音。

やばい、これは大腿骨がやられた…っ

と思ったらさほど痛くない(いや痛いのは間違いないのですが)。

 

よく見ると、蹴られたあたりには作業服のポケットがあり、そこには私の業務用スマートフォンがあったのです。

みしっといったのは、スマホが凹む音でした。

 

現在も若干「へ」の字になったスマホを使いながら、牛ってこえぇなあと思うと同時に、スマホってちょっとやそっとじゃ壊れないのねと感心するのでした。

 

頭突き!

絵本や映画なんかで、大きな動物に服を咥えられて背中にひょいと乗せられる場面があって、憧れたりしたものです。

牛が相手だと、さほど平和的ではありません。

それは甘えているのか邪魔だと言っているのか、とにかく牛は隙あらばスリスリと頭をなすりつけてくる。

いや、牛はスリスリのつもりかもしれませんが、実際の肌感覚としてはゴリゴリゴリ!といったところで、これをお尻・腰・背中に食らうと本当に痛い!

更に強靭な首の一振りが当たれば、人間なんか軽く吹っ飛ぶのです。

 

さて、直腸検査の作業中、私の背後を狙う牛がひたひたと近づいてくる。

そして何度も続く頭突きゴリゴリ攻撃に耐えていると、その牛は私の股に頭を突っ込み

ぶぅーーーーん

と首を持ち上げたのです。

私はふわーっと浮き上がり、…

…まあ、ちょっと気持ちよかったです。直腸検査中にやられると肩が脱臼するので、お気をつけて。

 

圧!

搾乳牛だと体重が600㎏ほどもあるのですが、牛と牛との間に割り込もうとして両方の牛の腰骨にプレスされたり、発情した牛にのし掛かられたりと、重量だけで十分な凶器です。

一度、治療中に牛が倒れ、そのまま私も巻き込まれたことがありました。

しっかり乗られてしまうと、本当に脱出できません。この時ばかりは自分の死か、立てなくなるかを意識しました。

こんな時って、映画さながら「誰か――っ!」と叫ぶものですね。幸い人がいてくれたので、救助されて事なきを得ました。

 

牛に携わる者、安全確保が第一です。

皆様も、牛と接触するときはお気をつけて。






#75 特別な29日

どうモー、うしコラムです。

 

今年はうるう年。4年ぶりに、2月に29日がやってきます。

そう、29日、に(2)く(9)の日…

というわけで、「4年ぶりの肉の日じゃー!!」とお肉業界は盛り上がっているようです。

 

京都府の調べによると、前回のうるう年・2020年2月の牛肉消費動向を見ると、2月9日と2月29日に牛肉の消費が大きく伸びていたとのこと(出典はコチラです!)。

めで「たい」ことがあれば鯛を食べるようなダジャレ食文化の日本。数字のゴロ合わせが消費に与える影響力は計り知れません。

 

例えば毎月22日はショートケーキの日。カレンダーを見ると22日の上には必ず15(いちご)日が乗っているから。

なんてことない毎日だけど、ちょっと見方を変えると、何かにとって特別な日だったりすることを感じさせてくれます。

 

2月29日も、「そうか、今年は1日多いんだ」で終わってしまいそうですが、それをきっかけにちょっと特別感のある食卓にできそうです。

私たちのお肉も、そんな今日のお供になれたらと思います。

 






#74 牛獣医の修行日記 妖怪四変その3

どうモー、うしコラムです。

さて、妖怪四変との対決録、続きます。

 

新兵器登場!

ガスの溜まった4胃を確認し、このガス抜きは骨が折れそうだと思ったその時。

先輩獣医はある道具を取り出したのです。

そう、ビーチとかで大活躍のあれです。

 

私「これは…」

先輩「見ての通り、ポンプだ」

私「空気を入れてどうするんです!?」

先輩「心配するな、このポンプは空気を抜くこともできるのだ!」

何という優れモノ!

 

ちなみに外科の教科書には「チューブを取り付けた針を4胃に突き刺し、4胃を圧迫してガスを抜く」的なことが書かれています。この方法は結構時間がかかって大変なのですが。

 

私「4胃に針…刺しました!」

先輩「ほいきた!」

とポンプを上下させる先輩獣医。するとどうでしょう、みるみる4胃がしぼんでいくではありませんか!

私「これは気持ちいいっすね…」

先輩「なんせ早いからおススメだ」

みなさんも胃にガスがたまった時はぜひ使っΣ\( ̄ー ̄;)

 

もとい、こうして首尾よくガスを抜き、なんとか4胃を所定の位置に確保(実はこの確保が一番難しいのですが)。腹壁に固定後、閉腹して手術は無事完了となったのです。

 

秋の4変祭り開催

じゃあ次からは自分でやるように。

そんなことを言われてその場は終わり、手術した牛も一命をとりとめたわけですが、手術はそう簡単に覚えられるものでもありません。

 

家に帰っても今日やった手技の言語化、イメージトレーニング、関連文献の入手。

そして牧場で死亡牛が出たときは、それを使わせていただき、模擬手術。

そしてアマゾンでポンプを買う。(牧場に費用申請、「医療用具です」と言い張った)

とにかく技術を覚えるためにやれることは何でもやります。

 

と、1頭あやしげな牛が出る。餌を食べない。

打診すると金属音。出たな、妖怪四変。

おっかなびっくり一人で立ち向かい、何とか退治に成功したのでした。

 

しかしそれが合図だったのか、

「先生、牛が餌食べません!」

 

翌週また

「先生、今度は別の牛が(以下同文)」

 

毎週のように出るわ出るわ。2か月間で8頭は出たでしょうか。

さすがに青ざめる秋の4変祭りでした。

 

どうにかこうにか手術もやり切りまして、何かさみしげに形容される「祭りの後」は、言い知れぬ達成感と、もう暫く勘弁してくださいという満腹感でいっぱいになりましたとさ。