どうモー、うしコラムです。
祝!うしコラム、とうとう1周年
第1回は2022年3月3日公開でした。うーむ、もう1年ですか、早いものです。
少しでも牛の魅力を皆様にお届けできていたら嬉しいです(^^♪
この1年、本当にいろんなことがあり、牛の奥深さを体で感じる年となりました。いずれ「牛獣医の修行日記」でご紹介しますね。お楽しみに!
怪奇!晴れの日の雨漏り
それは冬の寒さも和らいだ先日のこと。
いつものように牛の直腸検査で卵巣を探っていたのですが、私のようなまだ下手の獣医はなかなか卵巣が捕まらない。
卵巣を掴むため、体勢を変えたりして、ちょっと屈みながら(牛に蹴られる可能性があって危険なので良い子はマネしてはいけません)探っておりますと
…頭にぽたーりぽたりと雫が落ちてくる。
え?雨漏り?雨降ってたっけ?
…と思って見上げるとそこには牛の顔!
牛が私の頭によだれを落としているのでした。
…え?怖くない?当の本人にとっては割と命の危険を感じる状況なのですが(;^_^A
場合によってはそんな時、牛は発情していて、さぁのし掛かろうかいとしている瞬間だったりするのです(恐怖!!)。
牛の唾液は大量、そして働き者
牛の唾液の量は、1日当たり100L にもなるそうで。
ことほど大量の唾液を作るため、牛の唾液腺はとても大きく発達しています。
唾液と言えば、小中学校ではでんぷんを分解する役割があると習いますが、牛ではちょっと別の役割があるんですよ。
まず、牛は反芻するので、食べた食物をスムーズに動かすためにも唾液はとても重要です。唾液が不足すると反芻しにくくなるので、実は地味に大切な役割を果たしています。
次に、第1胃の環境をと整える役割もあります。
牛の胃は4つに分かれていて、第1胃は食べた草の発酵槽。草を発酵させるのは微生物のお仕事。
草が発酵する過程で酸が発生するのですが、実はこの微生物、発酵が進むと自分で作った酸で死んでしまうという間抜けな一面があります。微生物が死んでしまうと発酵できず、牛は栄養を吸収できなくなります。
そこで唾液の出番。牛の唾液はアルカリ性で、第1胃内部で作られた酸を中和し、微生物が働きやすい環境を作るのです!
牛のよだれのように
さて、牛の唾液にはなんと育毛剤としての効果もあるらしく、頭の上に垂れてきていたよだれですが、それならまあ無下に拭き払うこともないかなと…
とはなりませんでしたけどね、すぐ拭き取りましたが(;^_^A
牛のよだれは長く糸を引くように滴る様子から、根気強く長続きすることの比喩にも使われます。
このブログもよだれのごとく長続きするよう頑張ります!