どうモー、うしコラムです。
さて、4つある牛の胃のうち、4番目の胃にガスがたまって体の右側もしくは左側に移動してしまう病気・第4胃変位(=妖怪四変)に遭遇したらどうしよう、というお話の続き。
その日は突然やってくる
おや、最近餌を食べたり食べなかったり…安定しないなぁ…という牛が、ある日突然現れる。
実はそれこそが、妖怪四変に取りつかれたサイン。
もしやと思って聴診してみると…第4胃変位!
診断は意外と難しいのですが、ざっくりいうと、打診してみてキンキンという金属っぽい音が聞こえたら第4胃変位の可能性大、というわけです。
牧場スタッフ「どうします?」
私「と…とりあえず内科的治療で様子を見ましょうか」
で消化管を動かす薬を使ってみるのですが、治らない。
牧場スタッフ「どうします?」
私「えー…先輩獣医に電話します」
とプライドもへったくれもないやり取りの後、地域の先輩獣医師に頼み込んで手術を教えてもらうことに。
牛をやっている限り、その日は必ずやってくる。むしろやっと来たといったところ。
妖怪四変、見事退治してみせよう!(先輩の手で)
退魔術展開(※手術です)
一通り手術の準備をすると
先輩「じゃあ麻酔しようか」
でスタート。切る部分を半分囲うように麻酔を注射。
私「ホントに切るんですか?」
先輩「何のために麻酔したのさ?」
ですよねー…で意を決してざくりと切る。
私「この瞬間が痛そうでイヤです」
先輩「慣れるしかないね、はい、筋層も切って」
そして腹壁も切って、とうとう消化管が見えるようになる。
私「とうとうここまできた…」
先輩「いやまだまだ序の口だから」
そんなこんなで4胃を探っていくと、パンパンに膨らんだ袋が触れる。
触れる、というのは、切開部分の大きさに対して腹がでかすぎて4胃を見ることはできないので、手探りするしかない、ということ。
私「これ、4胃すか?」
先輩「(手を入れながら)うん、正解。じゃあガスを抜こうか」
私「(ゴクリ)こ…こんなデカいもの、どうやって…」
そして先輩獣医は不敵に笑って、おもむろに秘密の退魔兵器を取り出すのだった。
続く!