どうモー、うしコラムです。
さて、妖怪四変との対決録、続きます。
新兵器登場!
ガスの溜まった4胃を確認し、このガス抜きは骨が折れそうだと思ったその時。
先輩獣医はある道具を取り出したのです。
そう、ビーチとかで大活躍のあれです。
私「これは…」
先輩「見ての通り、ポンプだ」
私「空気を入れてどうするんです!?」
先輩「心配するな、このポンプは空気を抜くこともできるのだ!」
何という優れモノ!
ちなみに外科の教科書には「チューブを取り付けた針を4胃に突き刺し、4胃を圧迫してガスを抜く」的なことが書かれています。この方法は結構時間がかかって大変なのですが。
私「4胃に針…刺しました!」
先輩「ほいきた!」
とポンプを上下させる先輩獣医。するとどうでしょう、みるみる4胃がしぼんでいくではありませんか!
私「これは気持ちいいっすね…」
先輩「なんせ早いからおススメだ」
みなさんも胃にガスがたまった時はぜひ使っΣ\( ̄ー ̄;)
もとい、こうして首尾よくガスを抜き、なんとか4胃を所定の位置に確保(実はこの確保が一番難しいのですが)。腹壁に固定後、閉腹して手術は無事完了となったのです。
秋の4変祭り開催
じゃあ次からは自分でやるように。
そんなことを言われてその場は終わり、手術した牛も一命をとりとめたわけですが、手術はそう簡単に覚えられるものでもありません。
家に帰っても今日やった手技の言語化、イメージトレーニング、関連文献の入手。
そして牧場で死亡牛が出たときは、それを使わせていただき、模擬手術。
そしてアマゾンでポンプを買う。(牧場に費用申請、「医療用具です」と言い張った)
とにかく技術を覚えるためにやれることは何でもやります。
と、1頭あやしげな牛が出る。餌を食べない。
打診すると金属音。出たな、妖怪四変。
おっかなびっくり一人で立ち向かい、何とか退治に成功したのでした。
しかしそれが合図だったのか、
「先生、牛が餌食べません!」
翌週また
「先生、今度は別の牛が(以下同文)」
毎週のように出るわ出るわ。2か月間で8頭は出たでしょうか。
さすがに青ざめる秋の4変祭りでした。
どうにかこうにか手術もやり切りまして、何かさみしげに形容される「祭りの後」は、言い知れぬ達成感と、もう暫く勘弁してくださいという満腹感でいっぱいになりましたとさ。